2016年4月28日木曜日

寝具技能士試験に合格いたしました。 その2

先日の縫製編に続いて、今回は綿入れ編



先日説明を忘れていましたが。
上の写真のような、状態にした時点で、「縫製が終わりました」
と、審判員に声をかけ、既定の寸法に仕上がっているかを採寸されます。
採寸時間はロスタイムとなりますが、ここまでを3時間で終わらせます。


後半戦、綿入れの開始です。

かいまきふとんの綿入れは「下半身」と「上半身」を部分ごとに作っていきます。

まずは、下半身から、


下半身は、それほど複雑ではありません。

「いびつな掛けふとん」といった感じでしょうか?



手前に「凧の足」のように出ているのはエリになります。

「上半身」の作成の時に使いますが、この時点でワタ作りはします。


掛けふとんと大きく違うのが「エリ下」の部分です。

直角に尖らせるワタ作りはしますが、直角に曲げるワタ作りは「かいまき」だけでしょう。

僕は、かいまきづくりを学ぶまでここが不思議でしょうがなっかたのですが、やってみると「なるほど」と感心しました。詳細は企業秘密です。

エリ下の部分

それともう一つ、掛けふとんにはないものが「マチ」です。
下の写真のウサギの耳のようなものです。
これも、「上半身」で必要になります。

そで下にマチのワタを作っておく

ここまでできたら、生地をかぶせます。


掛けふとんと同じように、きれいにノシツケ(成型)して

綴じてしまいます。

ここで、かいまきの「下半身」ができました。

次に、「上半身」に入ります。
今度は複雑です。袖の部分でいえば、輪になって3Dになります。
また、エリの中央部分は、袖、身ごろ、襟の3つのワタが重なり、どれも同じワタだからどれがどれだかわからなくなる、超難関であります。



下の写真の1枚のワタの、両脇が袖、手前の中央部が後ろ袖から身ごろ・エリ、奥中央部が前身ごろになります。

上から重ねて形を作っていきます。


裏地を位置に合わせて、袖の口を縫っていきます。
この時点で、さっき作ったウサギの耳を生地のまちに合わせます。



袖口が縫いあがったら、丁寧にそろえて、


表袖を作って、生地を被せます。


綿入れの最終工程。表地の衿をまっすぐにのばして、エリを作ります。



くねっと曲がっているわたが、先ほどの凧の足。これを真っ直ぐにした表地に合わせ、三角の部分で両方を合わせます。その時、肩口の方にワタを持っていきます。ここで、エリを厚くしてしまうと不格好なかいまきになってしまいます。



そのあとは、エリ口を縫います。半円状になっている所を2メートル以上クケますので大変時間がかかります。
そうして、上半身を綴じます。(すべての綴じ箇所が100数箇所)。次に肩あて、エリをつけて出来上がりです。

カイマキを作りをご教授いただいてから2年間。初めは何をどうしているのか全然わかりませんでした。これまでに、何度も作っては壊しを繰り返し、丁寧に教えてくださった、亡き師匠に感謝いたします。

2016年4月22日金曜日

寝具製作技能士1級に合格いたしました。

保育所用のお昼寝ふとんが忙しかった先月、

寝具製作技能士1級の合格発表があり、

           

見事、合格させていただきました。


1級技能士の試験は「中夜着(かいまき)」の製作であります。


時間は6時間、(ふつう職人さんは2日かけて作業します)


これがどれほど大変なのかを、分かっていただきたく、

本日ブログを更新します。


まず試験問題がコレ。



これだけで、作らなければならず、裁断寸法は全て頭に入れていかねばなりません。

今回はお客様からご注文の生地の写真ですが、

試験で渡されるものも、同じように
こんな感じの

着物生地のようなものを、ポンと渡されます。


それを裁断するところから始まります。

生地を断ちます

まずは身ごろと袖
オクミとえりも
こんな感じ裁断しますが、見て良いのはさっきの紙1枚

 この後の作業のことを考えるとここまでは30分で終わりにしなければなりません。

もちろん、ぎりぎりの生地しか支給されませんので裁断を間違えたら、そこで落第です。


次に、縫製に入ります。敷ふとん、掛ふとんと違い、複雑な形をしております。


奥袖と表袖、身ごろを合わせオクミを合わせた所

  そして、この後最大の難関、エリをつけていきます。

  衿から肩にかけてはカーブしていのでミシンを慎重に動かします。


  そしてそこから、剣先と呼ばれる、オクミ、
身ごろ、エリが重なる三角の部分
三角に縫製している部分が剣先
黒いエリの下は表布のエリ、それにオクミ、身ごろが重なる

  これが大変、端を真っ直ぐ縫うのなら、目印がありますが、ここにはない。

  30センチ先のゴールを目指してゆっくり、下を確認して、縫ってはいけない生地を

  縫ってはいないか、確認しながら縫っていきます。

  そのあとはエリ下。フキと言って裏地を表に出しますが、ここが複雑怪奇。説明できない!

  それが出来上がったら背縫いをシツケします(手縫いで生地を倒して縫う)


そして縫いあがったのがこんな感じ。
  



大変さが伝わったでしょうか?

次回は綿入れ作業の愚痴を聞いて頂きます。